東京国際F映画祭 「空想癖の女」上映リポ
  2005年10月14日(金)、新宿ミラノ座で、東京国際ファンタスティック映画祭2005 ショ−ト600笑い部門の最終選考上映会が開催され、さゆりちゃんの主演兼音楽担当の映画「空想癖の女」が上映されました!
 大ヒットした日本映画でさえ放映の許されない日本最大のスクリ−ン規模を誇る超名門!ここで上映が実現された「さゆりちゃんの快挙」をミニレポ−トにしてみました!見にいけた人もそうでなかった人もさゆりちゃんの活躍を岩井祝いながら読んでください!
シアタ−@【快晴!】
 「なんてきれいな空の色なんだろう!」…東京は抜けるような青空が空一面に広がり、見事な秋晴れとなっていた。今日はさゆりちゃんの主演映画「空想癖の女」が新宿ミラノ座で上映される日。そのさゆりちゃんの晴れ舞台を祝っているかのようなお天気であった。
 私は新宿駅の東口を出てスタジオALTAの脇を抜けようとしていたが、平日の午前中であるにもかかわらずあいかわらず人通りは多かった。その人ゴミの中を新宿ミラノ座に向けて一直線に歩いていった。
シアタ−A【街】
 新宿ミラノ座に向かう途中、ふと目線を上に上げると黄色い「ノボリ」が出ていた。書いてあるのはナント「ファンタスティック映画祭」の文字!かなり大きな映画祭であることに間違いはないようだ。
 見渡すと街路灯のすべてにこのノボリが!私は「この映画祭にさゆりちゃんが出てるんだ」と思うと、あふれ出るうれしさと少しばかりの緊張感に襲われた。こんな感覚はありったけライブの時以来だろうか…。なんとも言えない充実した気持ちのまま、目的地である新宿ミラノ座に到着した。



ミラノ座の前の広場には、大きな大きな看板がすえつけられ、スタッフの人が最終調整をしているようであった。
ご覧のようにこの看板はデカイ…しかし、ミラノ座のスクリ−ンはこれよりはるかに大きいことを考えると、今回のすごさに少し身震いしてしまった。

シアタ−C【ミラノ座前】
 私は開場時間である10時半の20分前に到着した。ファンのある方と待ち合わせをしていたが、それ以外にも何人か来るはずであった。ミラノ座の前には今回の映画祭の立て看板にスケジュ−ルが印刷されており、すでに何人かの人達がその看板に群がっていた。
 ショ−ト600秒、最終上映笑い部門…これが小百合ちゃんの主演映画「空想癖の女」の出演時間帯である。「とにかくいい席を確保したい。そしてさゆりちゃんにスクリ−ンで早く逢いたい…」私のこころはそのことだけを考えていた。しばらくすると待ち合わせをしていた方や他のファンの方も何人か登場。手に手にチケットを握り締め、開場の時を待っていた。
シアタ−D【開場&会場】
 定刻の10時半、ミラノ座のガラス扉が開かれた。ひとつはわれわれ一般用で、もう一つの入口はプレス専用。今回の映画祭の大きさをまたも感じさせた。チケットをもぎられ、ロビ−を抜けて会場へ。デカイ、とにかくデカイ…客席の横幅もそうだが縦も限りなく大きい。そして正面のスクリ−ンときたら…日本でも最大規模と言われるのも納得であった。
 大きさに圧倒されつつも、私の足は確実に場内中央に向けられ、そして目の高さと同じ距離の席を確保した。「完璧な場所取りだ…」私は一人満足しながらそうつぶやいた。他にファンがいないか探してみるがそれにしても大きすぎ、そして観客が多すぎる!私は探すことを断念せざるをえなかった。
シアタ−E【う〜む…ない】
 私は開演前にロビ−に出てあるものを探した。それは今回の映画祭のカタログであった。せっかくのさゆりちゃんの晴れ姿、記念になるものはすべて入手し、せめて画像程度はさゆりちゃんにお届けしなければ…そう思ったのであった。
 すると片隅でカタログ売り場を発見!カタログとポスタ−を1000円で入手したのであった。私は喜び勇んで席に戻り、カタログをパラパラとめくった。しかし…ない。私の目指しているさゆりちゃんの紹介がないのだ。考えてみれば2次予選通過の発表はわずかに2週間前。このカラ−刷りのカタログがそんなに短期間に準備できないであろうことは落着いて考えればわかることなのだが…そんなことさえ気がつかないほど私は舞い上がっていたのだ。
 開演ブザ−とアナウンスが場内に響き渡った。それと同時に天井のライトは落とされ、代わってスクリ−ンの脇にある大きなスポットライトが客席にいる私達めがけて注がれたのであった。
シアタ−F【開演】
 ライトを浴びると同時に挨拶が始まる。ほんの5メ−トルほど前の客席に座っていた、今回映画祭のプロデュ−サ−である「いとうせいこう」氏であった。客席であるわれわれに照明を浴びせることで、観客が主人公であるかのような錯覚を与えさせる。映画祭らしい凝った演出である。
 彼は今回の上映がショ−ト600笑い部門のグランプリを選ぶものであり、審査員も観客も同じ一票でその結果が決まるということを説明。さっそく第一の作品「討ち入りだよ全員集合」が始まった。内容は…残念ながら赤穂浪士の現代版バロディという設定で、笑いで感動を起こすことはできなかったように感じた。そしてあっという間に終了。心なしか観客の拍手が淋しいように感じたのであった。
シアタ−G【空想癖の女】
 そして…お目当ての時間、「空想癖の女」の番だ。監督たかみさんの「アメリカの岩井小百合さん見ていてくださいね〜」といういうテロップのあと、「おかしい…どうしてみんな私が誕生日なのに何も言ってくれないのだろう」さゆりちゃんのこの一言で映画は始まった。
 さゆりちゃん演じる主人公の「倉本千代」はものすごい空想家。彼女のまわりには常に妄想空間が渦巻いており、発生する出来事をすべて自分の良いように空想してしまうという設定なのだ。さゆりちゃんの顔が新宿ミラノ座に大きくアップになる。あいかわらずきれい…いや、今までよりもっときれいな感じがした。
 今回は「笑い」という設定上、彼女の演技は明るくておもしろいのだが、それがさゆりちゃんのもともと持っているユニ−クな面に増長して、さゆりちゃんの演技がドンドンとキレを増している。そして観客が自然とスクリ−ンに吸い込まれている様子を私は肌で感じていた。
シアタ−H【充実】
 スト-リ−のおもしろさとさゆりちゃんの演技は実によくマッチしている。今回のお客さんはおそらくそれを自然と感じ取ったのであろう。倉本千代が自宅の留守番電話に自分宛に吹き込んだメッセ−ジ…まだこの部分は映画の前半なのだが、すでに観客は「笑い」として反応していた。
 そしてそのいい流れが最後まで持続し、エンディングで「シワワセとは気づくものなんだよっ!」を聴いた時、私をはじめ観客の多くが爽やかな風に包まれていたのであった。
 「ここちよい…」私は至極満ち足りた気分になった。そしてさゆりちゃんと一緒に見ることができたら彼女はどんなにか喜んだことだろう…とすこしだけ寂しさを感じたのであった。

シアタ−I【発表】
 残る2作品を簡単に説明すると「フルフェイス家族」は、現代社会は危険だから常にヘルメットをかぶっているという実家に主人公が帰省。嫌がりつつも最後はそれに順応し、こんどは外人にそれを押し付けてしまうという意味深な内容。
 最後の「解けない結び目」は、奥さんを亡くした老人が首をくくろうとしているところへ息子の嫁が大きなお腹で訪問。聞けば息子と分かれて死をも意識していたことがわかり、老人が逆に助けてしまうという内容であった。明らかにキャリアの長い役者さんを使っていただけに内容は濃かったものの、テ−マの「笑い」には程遠い感じであった。
 以下要約
 以上4作品終了後に投票用紙を回収、去年のグランプリ監督の最新作が上映されている間に審査は終了。そしていよいよグランプリの発表となった。ドラムロ−ルがなり、スポットライトが会場内を走り回る。
 「結果は…」という、いとうせいこう氏の声に会場の誰もが息を止めた。
シアタ−J【憶測】
 「結果は…【解けない結び目】に決定です」と発表された。私は「まあ、ここまで残れたのだから結果は…」と思いつつコメントを聞いていた。するとちょっと複雑な背景がありそうなことがわかった。
 それはいとうせいこう氏が最初に、「2作品に意見が割れましたが、みなさんの一番得票の多い作品にしました」と説明したにもかかわらず、次にコメントした審査員が「私は見てすぐにおもしろいとわかる【フルフェイス家族】を推した。なぜなら映画監督として絵的におもしろいと感じたからだ。【解けない〜】はスト−リ−としての完成度は高いが笑いという性質のものではなく、正直、得票数も大したことはなかった」と発言したのだ。
 つまり、この後者の発言を分析するとグランプリ作品の得票数は「大したことはない」と言っているのだから、おそらく3位以下だと推測できる。もしも2位であったなら「トップには及ばなかった」という表現を使うからだ。そうすると【討ち入りだよ】の内容が今ひとつだったことを考えると、【空想癖の女】が得票数2位以上であることになる。さらに【フルフェイス】が専門家好みで一般の人にはわかりづらい内容であり、笑いには適していなかったことを考えると、【空想癖の女】がトップではないだろうか…これはあくまで私の勝手な推論であるし責任も当然持てない。
 しかし、審査員の発言といとう氏の発言が食い違っていたことは周知の事実であり、どちらかの発言が虚偽でなければ、つじつまがあわない。まあ、本音と建前はどこの世界にでもあることだし、
どの作品が一番笑いとしておもしろかったかは見ていた観客が一番よく知っていることであるから、これ以上気にする必要もないであろう。
 
シアタ−K【素敵な体験】
 楽しい時間はあっという間に過ぎ去り、ビックイベントであった新宿ミラノ座での上映会は無事終了した。バレ−ボ−ルコ−トの大きさがあるという、日本最大規模のスクリ−ンにさゆりちゃんが登場し、生き生きと演技し、笑顔があふれ、そしてオリジナル曲が流れる…こんな体験はそうそうあるものではない。
 こんな素敵な体験ができたのも、さゆりちゃんが過去に頑張って出演・製作してくれおかげである。この素敵な作品を、またどこかで上演してほしい、そしてそのときにはさゆりちゃん自身にも見ていただいて一緒に語り合いたい…そう感じた一日であった。
 「さゆりちゃん本当にありがとう。映画上映会とってもよかったですよ。再会できる日を楽しみに待っています!そして倉本千代さん、またどこかで…ネ!」